自分は正当に評価されているのだろうか?
「ホンマに評価されてんの!?」
働くということは多かれ少なかれストレスが溜まりますね。
2020年は働く環境も変化を余儀なくされ、リモートワークが流行りつつあります。
かくいう私もリモートワークの波に呑まれて乗っかって、
大学の仕事がほとんど在宅ワークになりました。
自宅で仕事をするということは、通勤の手間が省けるので
気持ち的に余裕が生まれたりしていましたが
のべつ幕無しに質問がメールで飛んできたりして
だらだらと仕事を続けていることもありました。
意識してメリハリをつけなければならないのが
在宅やリモートワークの肝かもしれません。
実質、職場に向かっている時の方が仕事している時間は
短かったかも・・・
なんて思うこともありましたが、私は好きでこの仕事をしていますし、
今の働き方に満足していて、できればリモートのままでも・・・
なんて思ったりもしてます。
まあ、WEBカメラを急遽購入したりとバタバタした部分も
ありましたが。
そんな私もOLとして働いていた頃は「私は正当に評価されていない!」と
ぷりぷり怒っていた時代もありました。
だから何かと理由をつけては転職を繰り返してきました。
「仕事量に見合ってない給料」
二十代の女性のクライアントIさんのお話です。
彼女は役員秘書を務めています。
ところで、みなさんの思う「秘書」とはどんなイメージですか?
「役員秘書」なんて言うと、「カッコイイ」とか「スゴイ」と言う
言葉が出てくることが多いかと思うのですが
(私も思わず「スゴイですね」と言ってしまいました)、
実際には総務部に所属し、庶務業務や人事業務との並行での
秘書業務を行っています、と言われていました。
Iさんの秘書としての業務のひとつは、
始業時間よりも30分以上早く出勤し、
社長室・専務室・常務室・監査役室の清掃すること。
早出は当たり前で、稀に前日に役員がいないと
清掃して帰ったりできるラッキーなこともあるんです
なんて笑顔で言われていましたが、基本的には役員が出勤する前に
清掃して新聞を並べておくのが常だったそうです。
しかし、Iさんの会社はタイムカードがないので、早出残業などもなくタダ働きでした。
そして次の業務は10時と15時にはお茶を入れること。
どんなに忙しくてもその時間はお茶を入れに行くそうです。
Iさん1人で担っていたのは社長・専務・常務2人・監査役2人の役員6人。
役員全員のスケジュール管理、出張手当、来客対応など。
月に1度は社外監査役も招いて昼休みの時間帯に昼食をとりながら会議が行われるそうで、
そのときはIさんの昼休みは返上で、食後のコーヒーまでお出しして
ランチミーティング終わって片付けが終わってやっと昼ご飯にありつける状態。
同じ部署に先輩がいたそうですが手伝ってくれることなどなかったそうです。
Iさんは「仕事の分担があるから仕方がないですよね」と言っていました。
しかも会食の段取りなどはマニュアル化されておらず、
Iさんしか対応できなかったらしく、何があっても休むこともできなくて大変でした、
と言われていました。
そんな中でもIさんは社員の給与計算や新卒採用などの
雑務もこなしていたそうです。
Iさんは、あるとき同期との会話の中で
「秘書手当、もらってるんでしょ?」聞かれたそうです。
実は秘書手当などと言う特別手当みたいなものはなく、同期と同じ給料のはず。
「手当なんてもらってないよ」と答えるとその同期はものすごく驚いたそうです。
その時Iさんは、「そうか、秘書と言うのは特別な仕事に見えているのか」と初めて知ったと。
そしてIさんは話をつづけました。
「取引先には専属秘書や秘書室があるんです。・・・憧れます。」
その表情は羨ましくもあり、少し疲れているようにもみえました。
Iさんの業務は、役員の時候の挨拶の手配や、出張などの手配も行っていたため、
通常の総務の業務と合わせるとまあまあな仕事量になっていた様子。
「私、秘書手当なんてもらっていませんし早出残業もついていません。
対価がない仕事は本当に仕事なのでしょうか?」
Iさんはポツポツと話を続けます。
「私、実は秘書業務が苦手なんです。一日中あちこちに気を遣って。
でも自分だけで判断してはいけないことも多くて・・・。
自分のタイミングで仕事も運べないし、総務の仕事をしていても
社長が出かける時間になれば暑かろうが寒かろうがお見送りがあったり。
一番ひどかったのは社長の忘れ物を社長の自宅まで取りに行くように、と。
上司命令ですから行きますけど・・・そんな出来事が続いて、
仕事量とお給料の比率に疑問を抱くようになりました」
確かに私もIさんの話を聴いていて、
役員秘書が付くような会社は専属の秘書室があって、
ヒールを鳴らしてキレイなお姉さま方の集まりのイメージ
(漫画の見過ぎ、そしてIさんが綺麗なお姉様でないワケでもない)だったので
Iさんの話を聴いていて、誰にも言えずに辛かったんだろうな、と感じました。
時間外の仕事に手当がつくこともなく、
秘書手当がつくこともなく、
誰にも労ってもらうこともなかったのですから、
自分の仕事が正当に評価されているのかわからなくなるのも
無理はないことだったのかもしれません。
「本当にしたいのは別の仕事」
Iさんのお話を詳しく聴いていくうちに、
Iさんは「本当は秘書よりも人事の仕事がしたい」
と思っていることがわかりました。
秘書業務に割く時間が多く、人事の仕事に携われなくなってきた。
そして秘書の業務を分かち合える人がいないので
自分ひとりで色々と背負うのが疲れてきてしまった。
これがIさんの気持ちでした。
では一度、上司に相談して業務の見直しをお願いしてみよう、と言うことになり、
実際に相談し結果・・・残念なことにIさんは秘書業務をメインにされてしまいました。
秘書業務は自分のペースで仕事ができないし、
常に気を張っている状態なのでこれ以上は無理なんです
と涙ながらに語り、このまま仕事を続けていくべきか?を考え始めました。
その後ある出来事がキッカケで、今まで頑張ったきたけれど
社長がIさんを信頼していないと感じることが多々あったそうで。
これ以上頑張ってもダメかもしれない、と思い
Iさんは転職することにしました。
転職することを決めたIさんは気持ちが楽になったのか色々とお話をしてくれました。
秘書業務を担当していた時、手当も何もないうえに、
昇給やボーナスでも色が付くこともなくて。
私より断然業務量の少ない先輩の方がボーナスもらってるのを見るとねぇ・・・
と正直にお話してくれました。
Iさんなりに一生懸命頑張ってきたんだと思います。
仕事量に見合わないお給料だったことに気付き、
自分の頑張りを誰か見てくれているのだろうか?
と思うようになってきたことで、
自分が本当にやりたいことは何だったのか?と考えるようになったようです。
自分が正当に評価されていない
と感じたのであれば、それは環境を変えてみるいい機会かもしれません。